国際交流 ニュージーランドで看護研修を行いました
平成30年3月に、包括交流協定の締結先であるニュージーランド・クライストチャーチ工科大学(Ara Institute of Canterbury)を訪問し、看護英語の授業や病院・老人ホームの見学、学生間交流等を行いました。研修では、ニュージーランドにおける看護の考え方やニュージーランドの特色である母子保健制度など、多くことを学びました。
また本研修では、学生10名全員がホームステイ先で約2週間を過ごし、日本とは異なる文化や習慣、考え方の違いを肌で感じました。
帰国後は、学内において報告会を開催し、学生や教職員に研修の成果を発表しました。
看護英語の授業、現地学生との交流
午前中は基本的に看護英語の授業を行いました。授業ではスマートフォンを利用したクイズゲーム形式の授業など、学生が楽しみながら学べる工夫がされていました。また、英語を勉強している多国籍クラスの学生や日本語を学んでいる学生とも交流しました。
<学生の感想>
・「痛み」の表現の授業がとても印象に残っています。以前テレビで、病院で通訳として働く人について取り上げているところを見ましたが、最も難しいのは症状についての翻訳であるそうです。この授業では様々な痛みに関する表現を学びました。日本特有のズキズキというようなオノマトペを用いた痛みの表現と照らし合わせることが出来ました。
・授業の中で、中国やソマリア、ベトナムなど様々な国から英語を学びに来ている学生、日本語を勉強している学生、Ara内にある保育園の4歳児との交流を行いました。私はそこで英語を話せるということがどれだけ世界中の人とのコミュニケーションに役立つのかということを初めて実感しました。日本語を勉強しているクラスに訪問した際には、普段何気なく話している言葉が全く文法に則っていないことに気がつき、自分の話す日本語が通じるのか不安になりました。あらためて語学を勉強することの大変さに気づくことが出来ました。
病院、老人ホームの見学、「Plunket」についての講義、国際南極センター見学
クライストチャーチ市内にある公立の総合病院であるBurwood Hospitalや日本の老人ホームにあたる施設であるElmswood Retirement Villageを見学しました。また、Plunketの職員を招き、ニュージーランドにおける母子保健活動の講義を受けました。
「Plunket」とはニュージーランドにおいて100年以上の歴史を持つ母子保健に関するNPO法人です。Plunketでは生後4週間~5歳までの子供とその家族を対象としたケア(育児相談・支援、自宅訪問、検診等)を無料で実施しており、ニュージーランドの約90%近くの子供たちのケアにあたっています。
<学生の感想>
・ 日本とニュージーランドで医療に関する基本的な考え方や方法に大きな違いはありませんが、文化や生活の違いから生じる解釈の違いで、実践される看護の内容は大きく異なってくるのだと感じました。病院内にはピアノが置かれていて誰でも弾くことが可能であったり、病室のテレビにはイヤホンがついておらず隣の人とチャンネルが違っていても、お互いそれぞれのテレビを見ていたりしました。日本では全員が住みやすいようにしよう、という考え方がニュージーランドより強いため、テレビはイヤホンをしたり、ピアノもうるさいと感じる人が少なくないため、置いている病院は少ないのだと思います。ニュージーランドではより個人を尊重しているのだと思いました。これはどちらが良いという話ではなく、それぞれの文化、生活にあった実践方法なのではないかと考えました。
さらに感染症のリスクが低い人に対してはペットも持ち込めること、ペットがいることでモチベーションアップに繋がるという話も聞きました。ペットを飼っている人にとって、ペットは家族であると言われているほどその存在は大きいものです。患者にとってプラスに働くものを取り入れようとする考え方はとても良いと感じました。
・ニュージーランドの病院や施設は自然と密接で、病院内であっても外の空気や日の光を感じることが出来ました。ニュージーランドは自然が豊かで空も広く、私はそれらを見て、触れることで、明るく前向きな気持ちになることが出来ました。それと同様に患者さんも病院内であっても自然を感じることで、より心身に良い影響が与えられるのではないかと考えました。
・Plunketについて、ニュージーランドではPlunketが退院後の母子をサポートしており、非常に手厚い個別のケアが行われています。日本では出産後に子育てで戸惑う親が多くいると聞きますので、Plunketのようなシステムがあると、さらに安心して子育てが出来るのではないかと考えました。
放課後・休日
放課後・休日は自由時間としており、ホームステイ先の家族と過ごしたり、学生同士集まってトラム(路面バス)で市内観光をしたり、カヌーに乗ったりとそれぞれの希望に合わせた活動を行いました。
<学生の感想>
・2011年のカンタベリー地震の被害から再生しつつあるクライストチャーチの街中は、芸術性にあふれており、少し歩くだけでアーティスティックな壁面やデザイン性に富んだ建物が目を楽しませてくれました。そして街中から車で少し出れば、青く澄んだ海や大きな牧場も広がっていました。クライストチャーチは、人工物の精巧さと自然の雄大さの両方を遠出することなく体感できる場所だと感じました。
・放課後は友達や先輩と中心街をぶらぶらしたり一緒に課題をしたりしました。Araの近くにあるCardboard Cathedralという聖堂によく行きました。日本人建築家が設計した聖堂で、ボード紙で出来ています。神秘的な空間でとても印象深く、2週間で10回も訪れました。
国際交流報告会(4/26)
今回の研修で学んだ内容について学内で報告会を開催しました。参加者は興味深く聞いていました。報告会では沢山の質問が飛び交いました。
<研修を通しての感想>
・ホームステイについて、私は一人暮らしの女性と2週間を過ごしました。知らない人と英語で2週間過ごすのは緊張でいっぱいでしたが、とても楽しく、充実していました。彼女は忙しい人でしたが、愛にあふれていて、とても素敵な人でした。特に一緒に夕食を作ったのが印象に残っています。彼女は私のリクエストを聞いてくれて、ラム肉をごちそうしてくれたり、一緒にタコスやパンプキンスープ、リンゴケーキやバナナケーキを作ったりしてくれました。また、大学の話や身の回りの話だけでなく、日本の社会情勢や福祉制度、自殺問題やシングルマザーの問題など沢山の話をしました。彼女との会話がニュージーランドにいて最も楽しい時間の一つでした。
・ニュージーランドにおけるコミュニケーションについて、 日本と比較すると沢山のコミュニケーションをとっているように感じました。例えばバスの乗り降りで、彼らは必ず大きな声で挨拶を交わしていました。この光景に感動し、わたしも真似してみると、最初は大きな声を出すことが恥ずかしい気持ちもありましたが、徐々に慣れ、とても気持ちよくバスを乗り降りすることが出来ました。日本でも挨拶をする光景をみかけることはありますが、全員がするといったマナー化まではしていないように思います。この他にも彼らは友達と家族ぐるみで家に集まりパーティを開いたり、沢山のハグを交わしたりとコミュニケーションを深めている場面が多く見られました。沢山のコミュニケーションは私たちが健康に生きていく上で欠かせないことだと感じました。
・研修前は、まだ行ったことのない外国へ行くことへの期待と日本語が通じない国へ行くことへの不安が入り交じっていました。しかし、ニュージーランドに着くと、風景など見るもの全てが自分にとって新しくて、日本人が少ない環境にいることがとても自分をわくわくさせました。あの時の感情は今でも覚えています。行くまでに抱いていた不安は一気に無くなり、きっと2週間はあっという間に終わるだろうと感じました。実際、終わってみると本当に一瞬でした。ただ、2週間という短い期間だからこそ短い期間で何かを吸収しようとし、毎日を充実させようと行動できたのかもしれません。2週間で自分の英語の勉強不足などを痛感し、現地の学生との交流でもっともっと頑張ろうとも思いました。また、研修を通して、英語を話すことでコミュニケーションの幅が広がることを実感できました。帰国後は日本語を使うことが圧倒的に多いですが、2週間で経験したこと、学んだこと、感じたことをこれからの学生生活に活かしていきたいです。