大学案内

入学式

学部生95名、大学院生11名が入学しました。

入学式のようす

平成29年度 入学式告辞

 学生の皆さん、保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。
 お忙しい中ご臨席賜りましたご来賓の皆様、誠にありがとうございます。
 長い間の受験勉強から解き放されて迎えたこの春は、皆さんにとって忘れられない思い出となるでしょう。
 新潟県立看護大学は、2002年4月に開学した単科の看護大学で、この4月に15周年を迎えました。
 皆さんが選ばれた看護という仕事は、高齢化の進行もあってその需要は年々高まる一方です。2011年、看護職員就業者約150万人であったところ、2025年までに約200万人の看護職員確保が必要と言われています。看護職員の量的な確保だけでなく、健康と生活(くらし)を支える看護ケアは、ますます重要になってくるのは確かです。‘この生活を支える’の英語訳は、‘ライフサポート’といった訳が当てはまります。今から20年前の1997年に、米国のジャーナリストであるスザンナ・ゴードンは、‘ライフサポート・その最前線に立つ3人のナース’といった本を出版しました。3人の熟練看護師に密着取材して綴ったもので、看護の価値を記した名著と評価されています。その本の一節を紹介しましょう。
 「私たちがいまいる高度医療に囲まれた世界の中で、看護師は身体も心もケアしてくれる存在である。いかに繊細で、ケアの心があって、行き届いた配慮をする医師がいたとしても、看護師の方が、病院や家庭でより患者に近いところにいるため、その欲求や願いがわかる。それはなにも、生まれつき看護師の方が医師よりもケアする能力に長けているという意味ではない。そうではなく、看護師の方がより長い間患者のそばにいて、患者のことがわかっているということである。時間や知識を患者につぎ込むことによって、その生命を救っているのである。それだけでなく、患者が命拾いをした後も残りの人生を生き抜いていけるように援助している。そして、いよいよ患者の死が避けられなくなった時には、いくらかの品位と尊厳をもってその死を全うできるように援助するのである」と。
 英語のライフを逆に日本語にすると、生命(いのち)、生活、人生といった3つの次元の訳があります。ここからは私の経験を踏まえての話になりますが、若いときに心臓外科病棟に看護師として勤務した経験があり、患者さんの急変を察知して、命を救った記憶がいくつかあります。また、外科の医師は手術により悪いところを切除して病気を治療するけれど、手術後の回復は、食事、排せつの世話、注射等で痛みを取り除き、肺炎予防のために深呼吸を促し、早くからベッドを離れ歩行できる様に手助けする、体を清潔に気持ち良くして差し上げるそういった生活の基本的な欲求を満たす看護ケアは患者さんのもてる生命力に働きかけ回復に繋がるという実感を抱きました。
 しかし、後年、生活支援の意味合いをさらに深く考えるに至りました。訪問看護に関わる看護師から聞いた話です。難病でもって寝たきり状態にある音楽好きな方のお世話をするなかで、コンサートの生演奏を聞きたいというその方の望みを叶えるために看護師はボランティアでもって様々な手配と準備をして望みを叶えたという感動的な話、これに似た話はいくつか聞きました。看護は生活の質の向上を支援するとよく言いますが、不可能と思われる望みを叶えて差し上げるそのような可能性をもっています。
 さらに、看護師は人生に寄り添うという言い方をします、この世に生まれたとき多くは、助産師、あるいは看護師の世話になっていると思われます。子供から成人となって、家庭をもち、子供を育て、さらに年をとる。その様な人の一生のなかで、看護師は人生の重要な局面に関わることがあります。病気の回復を患者さんと一緒に喜べるときもありますが、病気やケガからくる苦しみ、不安、大切な人と別れる悲しみ、人生に希望をなくしている人に寄り添うこともあります。そんなとき、看護師の一言が安心につながり、手を差し伸べることで、心が癒され、生きる希望に繋がるかもしれません。看護師はその人の死が避けられないときも、寄り添い、尊厳をもってその生を全うできるように援助する使命をもっています。この3月に修了した大学院生の一人が「認知症対応型共同生活介護における‘そのひとらしい’終末期を支えるケア」といったテーマで修士論文をまとめました。4月に京都で開催の国際学会で論文の一部を発表しますが、埋もれがちなケアの価値を社会に発信できればと期待しているところです。
 以上、ライフサポート:人のいのち、生活、人生に寄り添い支援する看護ケアの価値について、本を紹介するとともに私の考えを述べさせて頂きました。入学された皆さんは、これまで、ご両親・ご家族、保育園や小・中・高等学校の先生方、様々な方にケアされてきました。そこから、他人のお世話、ケアを提供する看護職になるには、相応の学習と経験の積み重ねが必要です。命を助けるためには、医学・看護学の知識と技術の習得に励むことが必要です。看護実習等では、赤ちゃんから、小児、成人、高齢者、子供を出産するお母さん、様々な人に出会い、その人にとって必要な看護を考え、看護を提供する実習プログラムが準備されています。これらの学習を通して、人の身体と心のケアの両方ができる看護の専門職に育っていって欲しいです。ケアをすることは同時に皆さんの人間的成長につながるものです。教職員一同は、精一杯皆さんの成長を応援いたします。
 私たちの住む上越市は、江戸時代、城下町として栄えた歴史と文化をもつ街です。春は高田公園の桜、夏はお堀に蓮の花が開き、秋には桜と蓮の名前をとった桜蓮祭という学園祭があります。冬、雪にみまわれることもありますが、今どき、雪をかぶった妙高山の神々しさは格別です。是非、この地の歴史と文化、自然に触れながら、地域の皆さんと交流して有意義な学園生活を送ってください。看護職を志す同じ目的をもった仲間とともに過ごす学園生活は、きっと楽しいものになるに違いありません。学部生におきましては4年後、大学院生は2年後、3年後の成長を期待して、告辞とさせて頂きます。

平成29年4月7日
新潟県立看護大学長
小泉 美佐子

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