大学案内

卒業式・修了式

平成31年3月14日に、平成30年度卒業式・修了式を挙行しました。
学部生90名、大学院生5名がそれぞれ新たな道への一歩を踏み出しました。
学部生2名には成績優秀賞を、「認知症オレンジサークル」には認知症に関する地道なボランティア活動や啓発活動を評価し、優秀課外活動賞を表彰しました。









学長告辞

 本日、新潟県立看護大学看護学部を卒業する90名の皆さん、大学院修士課程看護学研究科を修了する5名の皆さん、卒業、修了おめでとうございます。
 保護者の方々にも、心よりお祝いを申し上げます。また、ご多用のところご臨席くださいましたご来賓の方々に厚く御礼申し上げます。
 今季は暖冬で雪が少なく、このまま春を迎えるのかと思いきや、国家試験受験前に寒波襲来。結構な降雪に見舞われ、その様な中、夜遅くまで国家試験の受験勉強、修士論文の完成に頑張っている皆さんの姿がありました。 今、大きな課題を乗り越えて学部・大学院を修了し巣立つ皆さんの顔はりりしく輝いています。

 現在、日本では少子高齢化と人口減少の局面を迎える一方、人工知能やロボット等の技術革新が一層進展することが見込まれ、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、人類史上五番目の新しい社会であるSociety5.0の到来が言われています。そんな近未来において「人工知能やロボット等による代替可能性が高い/低い職業の百種」というリストアップがあります。看護職はどうかと見ましたところ、代替可能性が低い職業として助産師がリストアップされていました。外科医・精神科医・内科医、歯科医師等がリストアップされているので、看護師、保健師もリストアップされて然りと見ました。
 人、そして命と向き合う医療・看護は、たとえどんな時代が訪れようと、絶対に必要とされる職業であります。
 私個人の体験から、その思いを一層強くした事がありました。昨年の4月末、不整脈の治療のため心臓血管系の専門病院に初めて入院する経験をしました。若い時、循環器外科で働いていたことがありましたが、その時にはなかった医療の発展の恩恵に浴することができ、お陰様で手術後の副作用や再発に見舞われることなく、仕事に復帰できております。
 病院では、主治医を始めとする医師のチーム、病棟の看護師、手術室看護師、手術後は一晩集中治療室(ICU)のお世話にもなりました。退院までに薬剤師の服薬指導、栄養士による減塩指導も受けました。また、外来検査では臨床検査技師、放射線技師の方にもお世話になりました。入退院・外来受付事務窓口もその病院を印象づける大切な役割を担っていると感じています。今日の医療はこのように多職種連携で成り立つものでありますが、患者として不安を抱く場面にはいつも看護師の存在がありました。例えば入院が決まった時の入院に対する説明。入院した後は受持看護師からクリニカルパスといって手術前後の処置や安静度、食事についてなど、注意事項を含めて説明を受けました。手術当日、手術室に運ばれ手術台に載せられて、いよいよこれから麻酔、手術に入る数分だった思うのですが、手術室看護師の声掛けと手際の良さは、大変、心強く記憶に残りました。
 ICUでは時間をおいてベッドサイドに観察に来てくれる看護師は唯一頼れる存在でした。翌朝、温かいタオルで体を拭いてもらった際は安堵とともに生き返る思いをいたしました。その病院の看護水準からするとごく標準的な看護を受けたことになるのでしょうが、安全・安心の医療を受けられたことに感謝しています。それでも、手術後、足の付け根の血管から出血を防ぐために仰向けになって足を伸ばしたままの6時間の安静は辛く、夜中に寝ていた風だったので声をかけるのを遠慮したということでしたが、安静解除の時間になったら一早く声をかけて楽な姿勢にして欲しかったと思うところもありました。
 モニター監視装置がいくら進んでも異常が生じた際の救急処置、身体的な苦痛を察知して手当してくれる看護師の存在はAIに置き換わるものでないと身をもって感じました。私の場合、薬物治療から手術療法へといった治療の選択にそう悩むことはありませんでしたが、医療の高度化に伴って治療の選択肢が増え、それだけ、その意思決定に苦悩する患者、家族も多いと思われます。
 ノンフィクション作家で医療問題に取り組んでいる柳田邦夫氏は、旧厚生労働省のインフォームド・コンセントの在り方に関する検討会の座長を務めた方でもあります。その柳田氏は医療人に求められる「人間力」について、「『人間力』とは何か。患者や家族を前にして何を苦しみ考え求めているのかを感じる『感性』、感じたものにどう対応するのかを『考える力』、それを患者や家族に語りかけ、最適の治療と納得感を探り出す『会話力』。この3つを強調したい」と述べています。皆さんは、看護学実習を通して多かれ少なかれ、この『人間力』を培ってきたと思います。臨床現場に出てからは、安全・安心の医療を届けることがまず求められるところですが、「人間力」に磨きをかけて人に寄り添える看護師に育ってくれることを期待しています。

 大学院修士課程を修了する皆さん、修士論文の研究成果は学会・学術雑誌に発表し、看護実践や看護学の発展のために還元していただきたいと強く願っています。論文発表会の後に、在学生を含めて皆さんとの意見交換会をもちました。本学の場合、仕事を辞めて修学に専念した方もおりますが、働きながらの社会人学生がほとんどです。職場の理解を得ながら何とか通学日をやり繰りしたこと、遠方からの通学が大変だったこと、それ以上に大学院での学びの楽しさが語られました。我が国は、人生百年時代を迎え、教育・雇用・退職後という伝統的なスリー・ステージモデルから、マルチ・ステージモデルへと、誰でも、何回でも学び直す機会があり、それをキャリアアップに生かす時代となりつつあります。しかし、我が国の30歳以上の修士課程への入学者の割合は、OECD平均を下回り22位と、大学院修学に対する社会の理解は未だ低い現状があります。大学では昼夜・土日開講等により社会人学生が修学しやすい環境を整えていますが、専門看護師コースでは臨地実習を課すところから、働きながらの修学にかなり苦労を伴う学生もおります。
 そのような状況下で、修了生の1人から病院に修学休業制度ができ制度利用第一号の恩恵を受けて、予定の3年間で修了できるとの報告を聞き、大学院修学に対する職場の理解が一歩進んだことを共に喜ぶことができました。
 もちろん、大学院修学の価値を職場、そして社会に理解してもらうのは、大学院修了後の修了生の働き如何によります。大学院で培った知識と技術、総合的な判断力と行動力をもって看護の質向上を目指す臨床の場の改革の推進者、チェンジエイジェントとならん!です。卒業生、修了生の皆さんの活躍と健闘を信じ、未来に幸多きことを祈って、はなむけの言葉とします。

平成31年3月14日
新潟県立看護大学
学長 小泉 美佐子

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