大学案内

卒業式・修了式

 令和6年3月8日、令和5年度卒業式・修了式を挙行しました。

 暖かな日差しのもと、学部94名、大学院博士前期課程5名、大学院博士後期課程1名が新たな道への一歩を踏み出しました。
 今年度は卒業生・修了生、保護者の皆様、教職員に加え、ご来賓の皆様をお招きし、新型コロナウイルス感染症以前の形式にて執り行いました。

 
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全体の様子

学部生代表へ学位記授与

学位記授与

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学部代表 旅立ちの言葉

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博士前期課程代表 お礼の言葉

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博士後期課程代表 お礼の言葉

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記念撮影

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記念撮影

学長告辞

学長告辞

 春の息吹のもと、妙高山、火打山が雄大な眺望を見せる今日のよき日、新潟県立看護大学看護学部看護学科を卒業する94名、大学院看護学研究科博士前期課程修了生5名、後期課程修了生1名の皆さん、卒業、修了おめでとうございます。
 今、大きな課題を乗り越えて、新たに旅立とうとする皆さんの顔は、とてもりりしく輝いています。
 今季、晴れのこの日を多数のご来賓、保護者の皆様、後輩達とともに盛大にお祝いできること、大変うれしく思います。保護者の皆様方には、これまで学生たちの成長を見守り、励ましていただきましたことに御礼申し上げます。
 学部を卒業される皆さんの大学生活を振り返りますと危機の連続でした。新型コロナウイルス感染症パンデミック禍にあり、入学式や新入生合宿オリエンテーションは中止、その後も追い打ちをかけるように政府から「緊急事態宣言」が発令され、本学では「休校措置」となりました。連休明けからオンラインでの遠隔授業が開始され、これまでに経験したことのない自宅での主体的な学習になりました。
 厳しい受験を突破し、夢を描いて入学を迎えたものの、想像とは違う大学生活の幕開けや学習形態となり、当初は「大丈夫だろうか」「看護学を学んでいけるのだろうか」など不安の毎日だったと思います。そんな中、「オンラインで友達になろう」での自己紹介、先輩との交流会など、新たな方法を駆使するコミュニケーションを習得していきました。緊急事態宣言解除後は、オンラインでの遠隔授業と対面授業との併用という新しい学習スタイルへの挑戦が始まりましたね。
 2年次の学園祭もオンラインで開催し、盛り上がりをみせました。基礎看護学実習Ⅱに先立つ「継燈式」は、学生の皆様の発案のもと対面にて先輩からの看護の燈を受け継ぐことができ、「逆境を乗り越えた自信」に繋がりました。そのころにはワクチン接種がはじまり、感染禍において時間は短縮されたものの、病棟実習は実施されました。そこでは、リアルな患者さんの反応、看護現場で働く人々の姿に感動し、看護への動機づけが強化されたのではないでしょうか。
 4年次、5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、生活も落ち着きを見せ、対面での卒業研究発表会、国家試験の受験もよく頑張りました。
 100年に一度と言われる感染症パンデミックの経験は、ITを駆使した新しい授業や交流を進展させ、物理的空間を越えた便利さを実感しました。しかし、逆に「普段の生活、友との雑談、クラブ活動」など、人と人との相互関係の貴重さを再確認する機会になりました。
 このように感染症という困難に直面しながら、それらに対処し、成長を果たすことができた卒業生に送る言葉は1つです。「獲得した自己のレジリエンス力を信じて前進して欲しい」ということです。
 私は若いころ、丁度皆さんと同じ年頃の白血病患者の看護に携わりました。そのころは真実の病名は伏せられ「重度の貧血」ということで「強い抗がん薬治療」の感染予防のため、準無菌室に入り、孤独に耐え、必死に彼女は戦っていました。高い熱、辛い状況をやっと脱し「私は幼稚園の先生を続けたい。子どもが好きなんです」と夢を語り、退院していきました。大変な状況で「何でそんなに前向きになれるのだろう」と人の強さに感動しました。その後、がん看護を学習し、『夜と霧』のヴィクトール・E・フランクルの考えに出会い、疑問が解決しました。
 フランクルは、自身の過酷な体験と精神科医としての臨床経験から、人は困難な状況や苦しみに直面しても、内なる意味や目的を見出すことで、精神的な強さを発揮し、回復しようとする能力を持つことができるという考えです。現在、教育や職場で重要とされているレジリエンス、心の強さや回復力に影響を与えた理論です。
 皆さんが対象とする人々は病あるいは生活不安から、人生の目的や意味を見失うことがあります。その時、皆さんが体験から獲得したレジリエンス力はケアの基盤になります。忘れてはならないのは、対象者を身体・精神・社会・スピリチュアルから全人的にとらえ、接近することです。人生の目的や意味は一人ひとり違い、生い立ちや暮らしぶりなどで形成されます。人間として対象者の生きてきた物語を傾聴することは、対象者にWell-being(幸福感)をもたらすとともに、相互作用により自身の人間的成長を育みます。レジリエンス力を生かし、質の高い看護をしていくことを期待します。
 大学院修了生の皆さん、実践現場での課題を科学的な探求で解決することができましたでしょうか。そのプロセスは難しく、時にトンネルの暗闇から抜け出せず苦しんだことでしょう。特に、コロナ禍において研究施設では入室制限がかかり、対象者への調査が進まず、代替策を考えた人もいたと思います。理論的に考え、考え抜き行動し、最後はそれらを成果として言語化することができました。このプロセスは本学の理念である「地域に根ざした看護科学の考究」の具現化になります。電球を発明したエジソンの名言には「私は今までに一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を今まで二万回しただけだ。」があります。あのエジソンさえ失敗を糧に新たな挑戦を繰り返しました。どうぞ失敗を恐れず今後も挑戦し続けてください。
 大学院を修了する皆さんには、修士の学位を有する看護のリーダー、専門看護師として、社会で求められる看護を築く変革者となることを強く期待します。また、博士修了者は、今後、新規性・独創性を有する質の高い研究を通して、看護のモデルや理論を豊かにし、看護学教育・看護研究を牽引していただきたく思います。
 看護職は生涯を通じた学びを必要とします。人生100年時代を迎えて、何回でも学び直しの機会があり、それをまた仕事に生かしキャリア・アップを図る時代となっています。一人ひとりの多様な幸せ(Well-being)、理想とする看護を追求する場として、ぜひ本学の大学院の門をくぐってください。また近況報告など教職員一同いつでも歓迎いたします。
 最後になりましたが、今季、令和6年能登半島地震は、多くの人の命を奪い日常性を喪失させました。時として自然はどうすることもできない力が働きます。被災地は寒さも厳しく、大変な状況が続いています。一刻も早い復興を願ってやみません。また国際情勢に目をむけますと、戦争により今なお多くの命が脅かされ人道上の危機が続いています。こうした戦時下や、国内外で頻発する災害などでも看護職は活動支援をしています。
 看護はどんな状況にあっても、人々の命と健康を守り、本学の建学の精神「ゆうゆう・くらしづくり」が達成できるよう、病気や障害に苦しむ人々に寄り添う看護職となる皆さんの健康と幸せ、活躍を祈念して、学長の言葉とさせて頂きます。 

令和6年3月8日
新潟県立看護大学
学長 神田 清子

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